表面処理技術
MontiPower の工法
課題。素地調整は、産業用塗装工事のなかで最もコストに影響し、かつ品質を左右する工程です。ブラスト処理は確実な方法ですが、研削材の調達と廃棄、養生設備、粉じん対策、周辺設備の停止といった負担を伴い、供用中の設備や狭隘部では実施そのものが難しい場合があります。
工法。Bristle Blaster®(ブリストルブラスター)は、高速で回転するブラシベルトの先端(ワイヤーチップ)が鋼材面に連続的に打撃を加える、動力工具による素地調整方式です。研磨してこすり取るのではなく、微細な打撃の繰り返しによって、さび・ミルスケール・旧塗膜を破砕して飛ばすと同時に、鋼材面に角張ったアンカープロファイルを形成します。つまり、塗膜性能を決める2つの要素、清浄度とアンカープロファイルを、1回の施工で同時に得られる点が、他の動力工具との違いです。
各工程の理論(プロファイル、可溶性塩、規格)については MontiPower Academy をご覧ください。適用先は対応業界から、製品選定はベルト選定ツールからご確認いただけます。研削材を用いない素地調整の詳しい解説は、montipower.com の技術ガイドに掲載しています。
STEP 1|素地の状態を診断する
施工の前に、まず評価する。
素地調整の品質は、正しい診断から始まります。素地の状態、除錆度、旧塗膜の付着状態、ミルスケールの厚さ、汚染の種類。これらが、どの MontiPower 製品が適切か、どこまでの結果が得られるかを決めます。
ISO 8501-1(除錆度規格)の目視さび度 A・B・C・D は、施工前の素地の状態を評価する国際規格です。MontiPower の工具は、さび度B(軽度のさび)からさび度D(著しい孔食)までの範囲で有効であり、いずれの状態からでも1回の施工で ISO 8501-1 Sa2 ½ および Sa3 に相当する清浄度が得られます(BB 11 mm ベルト、錆度D での試験結果)。
適用範囲について(正直にお伝えします)。本工法は、ブラスト処理のすべてを置き換えるものではありません。
適する用途:部分補修、供用中の設備、狭隘部、溶接部、養生が困難な現場、粉じん規制の厳しい環境。
適さない用途:広大な面積の一括処理、厚膜の重防食塗膜の全面除去、仕様書でブラスト処理が明示的に要求されている案件。
ISO 8501-1 目視規格:さび度A(ミルスケール)〜 さび度D(著しい孔食)
STEP 2|さび・汚染を除去する
ISO 8501-1 Sa2 ½ および Sa3 に相当する清浄度。第三者機関で検証済み。
Bristle Blaster®(ブリストルブラスター)または MBX® は、さび、ミルスケール、劣化した旧塗膜を1回の連続した施工で除去します。特許取得のワイヤーチップ(ブラシ先端)が高速で素地に打ち当たり、腐食生成物、ミルスケール、付着の弱い塗膜を破砕・剥離させて、清浄な金属面を露出させます。
ケレンとの対応(除錆度の目安)。日本の塗装仕様は、ISO ではなくケレン種別で記載されることが一般的です。目安として、次のように対応します。
・1種ケレン(さび・旧塗膜を全て除去し鋼材面を露出)= ISO 8501-1 Sa 2½〜Sa 3/SSPC-SP 10・SP 5。通常はブラスト処理で実施。
・2種ケレン(旧塗膜・さびを除去し鋼材面を露出)= Sa 2/SP 6。通常は動力工具と手工具の併用。
・3種ケレン(活膜は残し、さび・割れ・膨れ等の不良部を除去。A/B/Cに細分)= St 3 相当/SP 3。動力工具・手工具。
・4種ケレン(粉化物・汚れを除去し軽く目荒し)= St 2 相当/SP 2。動力工具・手工具。
MontiPower の位置づけ:ブラスト処理を用いずに、動力工具で1種ケレン相当の清浄度とアンカープロファイルを実現します。ここでいう「相当」は、第三者機関の試験で ISO 8501-1 Sa2 ½ および Sa3 に相当する清浄度が確認されている(BB 11 mm ベルト、錆度D)という意味であり、工法そのものを1種ケレンとして再区分するものではありません。実際の仕様適合可否は、必ず発注者・塗装仕様書に基づいてご確認ください。
ブラスト施工業者の資格審査に用いられるものと同種の試験報告書を、MontiPower による素地調整の裏付け資料としてご利用いただけます。
第三者試験機関により確認済み — ISO 8501-1 Sa2 ½ 相当の試験報告書をご請求いただけます
STEP 3|アンカープロファイルを形成する
65–85 µm Rz の角張ったプロファイルを、同じ施工の中で。
ここが MontiPower の特徴です。ディスクグラインダーやニードルスケーラーによる従来の処理は、表面をきれいにはしますが、平滑または潰れたプロファイルになりやすく、ジンクリッチプライマーや厚膜形塗装システムには不十分です。プロファイル(表面粗さ)は、ISO 8503 の表面粗さ比較標準片、レプリカテープ(ASTM D4417 Method C)、または Rz・Rp・Rv を読み取るデジタル粗さ計で、現場で検証できます。
原理。MontiPower のワイヤーチップは、素地に当たった瞬間に鋼材表面を打撃(ピーニング)するよう精密に成形されています。打撃の瞬間にワイヤーがたわんで弾性エネルギーを蓄え、それを打撃力として解放します。毎秒数千回に及ぶ打撃の累積効果によって、清浄化とアンカープロファイルの形成が同時に進みます。得られる 65–85 µm Rz の角張ったプロファイルは粗さ計で検証されており、産業用塗装仕様が求める表面粗さの要求をほぼ満たします。
粗さ計による検証値:65–85 µm Rz の角張ったアンカープロファイル
STEP 4|間を置かずに塗装する
研削材の回収も、養生設備の解体も不要。そのまま塗装へ。
回収すべき研削材も、無害化すべき汚染粉じんも、解体すべき養生足場もないため、素地調整の直後にそのまま塗装工程へ移れます。これにより、素地調整済みの鋼材が再びさびる(フラッシュラスト)時間帯をなくせます。素地調整から塗装までの時間が厳しく管理される海洋、洋上、高湿度の環境では、これが重要な要素となります。
また、アンカープロファイル内に研削材が残留しないため、塗膜の長期的な不具合の隠れた原因、すなわち塗膜下で腐食し早期の層間剥離を招く研削材粒子を排除できます。
プロファイル内に研削材が残留しない = 塗膜の長期付着性に有利
特許取得のチップ形状
ワイヤーチップが従来の動力工具処理を上回る理由
MontiPower の性能は、ワイヤーチップの精密な形状に由来します。一般的なワイヤーブラシがけは表面を磨いてしまい、丸みを帯びた浅いプロファイルにしかなりませんが、MontiPower のワイヤーチップは、特定の角度と速度で鋼材に打ち当たるよう設計されています。
打撃の瞬間、ワイヤーチップはたわんで弾性エネルギーを蓄え、それを打撃力として表面に解放します。毎秒数千回の打撃が積み重なることで、清浄度と角張ったプロファイルの両方が形成されます。これは局所的な機械的ピーニングにほかならず、他のワイヤー系工具では得られない結果につながっています。
発注者・仕様担当者にそのまま提出できる第三者資料
ISO 8501-1 Sa2 ½ 試験報告書
第三者試験機関による試験により、Bristle Blaster® および MBX® が ISO 8501-1 Sa2 ½ および Sa3 に相当する表面清浄度を得られることが確認されています(BB 11 mm ベルト、錆度D)。多くの塗装仕様が要求する等級に相当します。試験報告書をダウンロードいただけます。
試験報告書をダウンロード →表面粗さ(プロファイル)証明書
65–85 µm Rz の角張ったアンカープロファイルを裏付ける粗さ計測定結果です。ジンクリッチプライマーおよび厚膜形エポキシ系塗装システムに関する主要な塗装仕様に適合します。
プロファイル証明書をダウンロード →ATEX II 2G/2D ゾーン1・21 認証
MontiPower のエア式工具は、可燃性雰囲気での使用に関する ATEX(欧州防爆指令)認証を取得しています。洋上プラットフォーム、製油所、LNG 施設、化学プラントでの使用を想定しています。
ATEX 認証書をダウンロード →研削材なし、廃棄処理なし
MontiPower の工具は研削材を使用しません。研削材の調達も、鉛等で汚染された研削材の廃棄処理も、シリカ粉じんへのばく露も、養生設備も不要です。労働安全衛生および環境面の対応が簡素化されます。
安全データシート(SDS)を見る →ブラスト処理を用いずに、Sa2 ½・Sa3 相当の清浄度へ。
ISO 8501-1 Sa2 ½・Sa3 相当
第三者機関による ISO 8501-1 試験で、ブラスト処理に相当する表面清浄度が確認されています(BB 11 mm ベルト、錆度D)。研削材、養生設備、粉じん抑制設備は不要です。
ATEX ゾーン1・21 認証
エア式工具は ATEX II 2G/2D の認証を取得しています。洋上、製油所、石油化学プラントの可燃性雰囲気でも使用できます。
65–85 µm のアンカープロファイル
特許取得のワイヤーチップ形状が、塗装仕様の求める角張ったプロファイルを形成します。ジンクリッチプライマーや厚膜形エポキシ系にも適します。
研削材・養生設備が不要
研削材の調達と廃棄、粉じん抑制、養生足場が不要になります。条件によっては、仮設・段取りにかかる費用を最大60%程度まで削減できた事例もあります。
現場を選ばない
充電式・電動・エア式をご用意しています。遠隔地、高所、狭隘部、稼働中の設備でも、ISO 8501-1 Sa2 ½ および Sa3 に相当する素地調整が可能です。
30年以上の実績
石油・ガス、洋上、インフラ、鉱山の各分野で、50か国以上・30年以上にわたる使用実績があります。
実際の鋼材での施工を見る
まずは技術資料、次に実物で。
工法の理解には、御社の素地と塗装仕様書に沿ってご検討いただくのが確実です。まず技術資料と試験報告書をご覧いただき、そのうえでご希望があれば、テストピースでのデモンストレーションやサンプル施工についてご相談ください。日本オフィスが日本語で対応いたします。



